広戸駅 ひろと JR五能線 青森県西津軽郡深浦町(Open in Google Maps) 駅に入る前から正面に見えたのは、白波の立つ日本海。ところどころ金網の張り替えられたフェンスの存在が、海までの近さを物語ります。見渡す限り、店も人家もなし。列車も1日およそ5往復だけ。あたりには波風の音ばかりが響いていました。 訪問:2016年3月 / 更新:2022年1月26日 3月下旬の昼下がり、弘南バス・鯵ヶ沢~深浦線 の「広戸」バス停 で下車。1日4往復しかないバス路線ですが、ほぼ同じ本数の五能線の駅を巡るときには欠かせない足です。広戸バス停のすぐ隣にあるのが、広戸駅。国道101号にぴたりと沿うように小さな駅舎、もとい待合室とホームが並びます。駅前には小さな化学工場があるのみで、商店はもちろん、人家も一切見当たりません。航空写真 を見る限り、最も近い集落も線路沿いを600mほど深浦方面に進んだ場所。なぜこの場所に駅があるのか不思議な立地です。駅に入る前から、日本海が姿を見せました。ホームと待合室の間に入口があるという、ちょっと変わった造りをしています。もちろん無人駅です。線路に柵がないあたりも、風情があってたまりません。車が通るタイミングを除けば、波風の音だけが響き渡ります。潔く屋根の一切ないホーム。波風を防ぐためか、線路と海の間に背の高いフェンスが立ちはだかります。青森名物、りんご印の駅名標。日本海は線路のすぐ向こうまで迫っていました。驫木駅 や 千畳敷駅 など、海の見える駅があまたある五能線の中でも、海の近さは指折りです。目の前で手に取るように砕け散る波しぶきを見ると、フェンスがあるのも頷けます。フェンス越しに見る水平線もなんだか新鮮。茶色と銀、新旧の金網が混在している様子は、まるで意匠のよう。南の深浦方面を望む。ちなみに、両隣の 深浦駅、追良瀬駅も海の見える駅です。バックミラーからも海が見えると、ちょっと嬉しくなります。待合室の壁には、年季の入った駅名標が残っていました。ベンチとトイレがあるのみのこじんまりとした待合室。その窓からも海が見えました。訪問当時で上下合わせて10本だけの時刻表が、五能線で途中下車することの過酷さを物語ります(現在の時刻表は こちら)。いくら終電が早いからとはいえ、待合室で泊まるのは禁止とのこと。列車もバスもしばらく来ないので、隣の追良瀬駅まで国道101号を歩くことに。曲がりくねった海岸線に、人の気配がない道路。そして、荒波の打ち寄せる日本海。いかにも五能線らしい景色です。なお、国道には限られた場所にしか歩道がないため、歩く場合は注意が必要です。追良瀬駅を訪れた後、乗り継ぎ時間の兼ね合いで広戸駅にもう一度立ち寄る時間を作れたので、列車で改めて下車。乗り降りする人は、もちろん私以外にいませんでした。