高浜駅 たかはま 伊予鉄道高浜線 愛媛県松山市(Open in Google Maps) 年季の入った木造駅舎の改札越しには、小さな港。そこには瀬戸内海のいくつもの島々を結ぶ客船が発着します。背景には船の行き先の一つである興居島(ごごしま)。松山からわずか20分の終着駅には、吸い込まれるように島旅に出たくなる旅情がありました。 訪問:2024年4月 / 更新:2024年10月7日 松山市の中心街、松山市駅から伊予鉄道高浜線で約20分。瀬戸内海に一番近い 梅津寺駅 を過ぎると、いよいよ終点の高浜駅です。休日の昼、ぱらぱらと人が降り立ち、すぐに静かになったホーム。到着した列車はそのまま発車の時を待ちます。そしてホームの柵越しには瀬戸内海がちらり。海しか見えない隣の 梅津寺駅 とはまた違った街の風情です。駅舎を見ると明らかにレトロな雰囲気。味のある駅長室の看板もありました。そんな駅舎の脇からも海。向かいの興居島からこちらに向かう小さなフェリーも見えました。改札口へ向かうと、正面で迎えてくれたのがこの景色。木造駅舎、木の上屋で覆われた通路をまっすぐ抜けた先は、興居島や忽那諸島を結ぶフェリーの発着する高浜港でした。背の高い空間に格天井。木造駅舎の内部も絵に描いたようなレトロです。壁面には「玻璃ヶ浦駅」という看板がありますが、こちらはドラマ「ガリレオ」シリーズの劇場版映画「真夏の方程式」のロケ地として登場した際の駅名だそう。その右下に小さな出口が見えますが…駅に併設されたバス停に続いていました。バスの行き先は800m北にある 松山観光港。主に広島・呉を結ぶフェリーと高速船が発着します。再び正面の高浜港。ちょうど2隻のフェリーがほぼ同時に到着しようとしているところでした。穏やかさとせわしなさが同居する風景。駅舎を出て振り返れば、入口のさりげない意匠にも年季を感じます。通路にはこれまたレトロな売店がありました。食料はもちろん野菜の種まで売っているなかなかのコンビニエンスぶり。意外にも駅周辺にそのほかコンビニや商店はなく、貴重な存在です。高浜駅の駅舎全景。想像以上の風格と年季でした。昭和初期以降築のようですが、建築時期の正確な記録は残っていない そう。駅だけまるで時代に取り残されたかのような佇まい。大きな改修もされずここまで昔の姿を保つ駅舎は貴重です。駅舎のすぐ目の前にある高浜港のフェリー乗り場。駐車場や待合所もあり、船が来ない間も車や人がちらほら行き交っていました。間もなくしてまた興居島行きのフェリーが到着。列車を降りた勢いでふらっと飛び乗り、当てもなく島の旅へと出たくなる。そう思えるくらい、駅と船が近い存在に感じました。