相浦駅 あいのうら 松浦鉄道 長崎県佐世保市(Open in Google Maps) かつて多くのキリシタンが住んでいたとされる、佐世保市の黒島。その黒島の玄関口が、ここ相浦駅です。高台のホームから望む相浦港には多くの漁船が停泊し、辺りはいかにも港町の風情。小さなステンドグラスのあしらわれた駅の出口は、思わず教会のイメージと重なります。 訪問:2016年5月 / 更新:2019年9月22日 九州最西端の海の見える駅、すえたちばな駅 の訪問後、続いて訪れたのが相浦駅。港を望む、静かな無人駅です。眼下の相浦港には漁船がひしめき、小さな港町の風情を醸していました。ちなみに、松浦鉄道の前身の 佐世保軽便鉄道 は、相浦港までの石炭輸送のために建設されたのが始まりだそう。港の先に見えるのは、名勝 九十九島 を形成する焼島や矢坪島。いずれも無人島です(参考)。さらにホームの佐世保寄りまで歩くと、岩の陰から九州電力の相浦発電所が出現。なお、相浦発電所は2019年4月に廃止されています。相浦駅のサブ駅名は「黒島天主堂とあたごさんの駅」(参考・PDF)。黒島には江戸時代に多くのキリシタンが移住したとされ、2018年には 黒島の集落 が世界遺産に含まれました。黒島へは相浦港からフェリーで約50分(参考)。島式のホームには、レトロな木造の屋根と、大きめの待合室がありました。待合室の入口は大きく、扉もありません。風を凌ぐには心許なさが残ります。窓もないので、眺望もダイレクト。無人駅とはいえ、ここまで吹きさらしの待合室は珍しいです。駅を出るために、ホーム端の階段を降りてみます。頭上に架かるのは、県道139号線の相浦港大橋。階段を降りた先には、天井の高いトンネル状の空間。そして、教会を彷彿とさせる丸いステンドグラス。トンネルの薄暗さが、ステンドグラスの存在をいっそう際立たせます。相浦駅から見て、海の反対側には「相浦富士」とも呼ばれる 愛宕山 があります。ちなみに、サブ駅名の「あたごさん」は近くの愛宕神社で行われる植木市「あたごさん市」に由来しているそう。駅前は駐車場になっていて、その目と鼻の先はもう港です。振り返って目に入るのが、まるで時代に取り残されたかのような、相浦駅の入口。訪れる時期次第では、より手入れのされた状態かもしれません。訪れたときは、駅名にまでしっかりと蔦が絡んでいました。ホームに戻るとまもなく、遠くからコトコトと音を立てて、帰りの列車が到着。これから一路、終点の佐世保駅へと向かいます。