5月、小樽へ向かう道すがら、景気のいい名前の銭函駅でひと呼吸。銭函川に架かるホームからは、足元に石狩湾、遥か遠くに山の稜線を望みます。ここは石狩平野の西の果て。新緑に包まれた山がいよいよ海にせり出し、小樽に向かう列車はここから海岸線に沿うように走ります。
銭函駅
ぜにばこ
- 札幌から小樽方面へ普通列車で30分弱。小樽市に入って最初の駅が銭函駅です。訪れた5月初旬、ホームの脇では桜が満開を迎えていました。
- 一見すると郊外の普通の駅といった印象ですが、海側のホームの一部が銭函川に架かっており、目と鼻の先にその河口と石狩湾を望めます。
- 遥か遠くに連なるのは、洋上風力発電のプロペラ。背後にはうっすらと対岸の暑寒別岳をはじめとする山並みが見えました。冬にはもっとくっきりと見えそう。
- 跨線橋の窓からも海。
- 窓から小樽方面を見下ろすと、広々とした構内が見えました。左手には石狩湾にせり出した崖があり、ここが石狩平野の端にあたることがわかります。函館本線も、隣の 朝里駅 とその先の小樽築港駅にかけて、この崖下に沿ってしばらく海の隣を通ります。
- 反対の窓からは、石狩湾新港の工業地帯。
- 山側のホームにやってきました。跨線橋の出口には風雪を防ぐ扉があり、待合室としての機能も兼ねているようです。
- 足元には、チューリップの花咲く花壇。
- 海のほうを向くと、建物の隙間から海がちらりと見えました。
- そこにちょうどタンカーがフレームイン。雪の残る暑寒別岳もまた絵になります。
- 先ほど見た河口ほどの眺望ではありませんが、駅のいたるところから、海がちらちらと見えます。
- 自動ドアのある改札口の向こうにも。
- その改札口の脇には大きな「銭函」があります。なんと 1970年頃に駅員さんが手作りしたもの だそう。「銭函」はこの一帯の地名で、いつもニシンが大量に獲れたところ、つまり現代流にいえば「ドル箱」の土地ということに 由来する そう。
- 銭函駅は有人駅で、ちゃんとみどりの窓口もありました。
- 駅前にはロータリーと、道道を一本挟んだ先に、住宅やカフェやレストランなどが立ち並びます。これらのお店はどこもオーシャンフロントです。
- 銭函駅は、実は北海道で最初の鉄道駅のひとつで、開業は1880(明治14)年。140年以上もの歴史があります。現在の駅舎は1931(昭和3)年に改築されたもの。ちなみに、切妻が2段になったこの屋根は「ギャンブレル屋根」というのだそう(参考)。
- 駅前にも花壇があり、地元の方々の愛を感じます。
- 銭函川に架かる橋へと歩けば、銭函駅のホームと同様に石狩湾を一望できます。海の先に残雪の稜線。富山県の 雨晴海岸 を思わせます。
- 銭函駅を横目に踏切を渡ると…
- 線路沿いの道から、駅と海が同時に見えました。
- 山のほうには、新緑と桜に包まれた銭函川。都市のそばに当たり前のように美しい自然があるのも、北海道の良さだと感じます。
- 桜に吸い寄せられるように上流の橋へ行くと、立派な桜がありました。
- 振り返れば、銭函駅のホームとともに、川から海まで一直線に抜ける景色。
- 偶然にも、駅員さんが車掌さんに届け物をするところだったようです。
- この日の石狩湾は、どこまでも青く澄み渡っていました。