日本最北端の駅は、海の見える駅でもありました。行き止まりのホームからは、東に稚内港。駅舎の2階に上れば、北に宗谷湾。海の存在感はわずかですが、最北端の駅にいるという事実が、旅情をひときわ膨らませます。駅の外にも、最果てを感じさせるスポットがあまた。ここまで来たら、ぜひじっくり観光と参りましょう。
稚内駅
わっかない
- 朝5時半。旅の始まりは、稚内駅前にある「サフィールホテル稚内」で迎えた、稚内港の日の出から。
- 海岸から200mほどの場所に、稚内駅(写真右)があります。
- 朝焼けに照らされる稚内駅と周辺の町並み。日本最北の街にはビルが密集し、最果てにあることを感じさせませんでした。
- ホテルを出て駅前へ。白い壁とガラスの美しいの駅舎は2012(平成24)年に建てられたもの。「キタカラ」という複合施設でもあり、道の駅、バスターミナル、高齢者住宅、地域交流センター、さらには映画館などを兼ねています。ここにある多くの施設が「日本最北の〇〇」と言えそうです。
- 駅舎から飛び出すのは「日本最北端の線路」。駅舎の建て替えに伴ってホームが100mほど南に移設されたのに伴い、旧駅舎時代の線路の終端を復元したものだそう。
- 線路をたどって駅の中に入ると、そのまま現在の線路の終点がありました。
- 自動ドアで隔てられた改札口を抜けてホームへ。ここは言わずと知れた日本最北端の駅。列車は1日に7本。うち特急が3本です。真のターミナル(終端)駅ではありますが、ホームはひとつだけ。
- ホームの柱には主要な駅からの距離が書かれています。JRで日本最南端の終着駅・鹿児島県の枕崎駅までは約3,100km、鉄道では最速2日を要する距離(参考)。札幌でさえ400km近く離れており、特急で5時間以上を要します。
- そして視線を東へと向ければ、朝日に輝く稚内港の海。日本最北端の駅は、海の見える駅でもありました。また、全長259kmある宗谷本線でも、ホームから海を見られるのは稚内駅だけです。
- 昼間になると、より港や対岸にある宗谷丘陵がより鮮明に見えました。
- 海の見える場所はホームの先端にも。
- 駅の隣が空地になっており、港まで見通せます。沿岸は意外にも工業地帯。
- 駅舎へと戻りました。待合室と一体となった吹き抜けのアトリウムは明るさ抜群です。1階にはセイコーマート(日本最北ではない)や土産物店も入ります。
- 2階から見下した駅前ロータリー。正面をよく見ると…
- 背の高い防波堤越しに、宗谷湾がちらりと見えました。
- 2階には机や椅子の置かれたロビーもありますが、そこからもガラス越しに稚内港が見えます。
- タイミングによってはフェリーの姿も。こちらは利尻島・礼文島を結ぶ ハートランドフェリー。稚内港にはサハリンを結ぶ航路もありますが、2019年以降休止になっているそう(参考)。
- なお、2階には稚内駅を見下ろせる小さな展望デッキもありますが、海はそれほど見えません。
- ただ、線路の終端と、そのはるか先で顔を出す海を同時に見られるのは、稚内駅でもおそらくここだけでしょう。
- 再びの駅前。せっかく最北の地まで来たので、ここからは駅周辺を巡ります。写真右の高い建物が、日の出を見たサフィールホテル稚内。
- 最北端の線路をよく見ると、線路を模したタイルが海岸の方に伸びていました。
- 辿った先にあったのは、1931(昭和6)年から建設された 稚内港北防波堤ドーム。駅からは歩いて5分ほど。樺太を結ぶ稚泊(ちはく)航路があった頃には、ここに稚内桟橋駅と船着き場がありましたが、終戦とともにどちらも役目を終えました。
- 427mという長さは圧巻。中を歩くこともできます。
- 今度は街を抜けて、海とは反対、山に向かいます。正面にあるのは、神職が常駐する神社としては日本最北の 北門神社。
- 神社の脇を抜けて、訪れたのは 稚内公園。
- 海と山に挟まれた細長い稚内の街を一望できます。2018年には 日本夜景遺産にも選ばれた そう。
- 南北に細長い稚内の市街は、バス移動しやすいのが特徴。列車を待つ間、稚内駅前から約20分おきに出ている宗谷バス・稚内市内線 に乗り、片道15分ほどで最果て感のあるノシャップ岬にも行けてしまいます。
- さらにこの旅では時間があったので、稚内空港にほど近い、海の見える「声問」バス停で小休止して…
- 宗谷岬からロシアのサハリンまではわずか40kmあまり。運がいいと異国の稜線が見えるそうですが、この日は叶わず(写真の方角とは異なります)。それでも、駅を巡る旅の中で異国に思いを馳せるという、貴重な経験をすることができました。