津島ノ宮駅 つしまのみや JR予讃線 香川県三豊市(Open in Google Maps) 1年のうち、8月のたった2日間しか降りられない津島ノ宮駅。すぐ近くの海に浮かぶ、津嶋神社の夏季例大祭に合わせて営業します。そのホームからは、瀬戸内海の見事な夕景と、筏の上で打ち上げ花火の準備が進む様子が垣間見えました。やがて宵になれば、ホームの頭上には大輪の花。夏にしか降りられない駅から見えたのは、ひときわ夏らしい光景でした。 訪問:2018年8月 / 更新:2023年7月29日 津島ノ宮駅は、毎年8月4・5日の2日間だけ営業する、日本一営業日が短い駅。にもかかわらず、オリジナルキャラクター「つしまのみや えきちゃん」が描かれた可愛らしい駅名標が立っていました。営業日の2日間は、最寄りの 津嶋神社 の夏季例大祭。津島ノ宮駅に到着する列車の多くがほぼ満員で、扉が開くと雪崩れるようにお客さんが降りてきます。ホームはカーブしていて段差があるため、各扉に1人ずつ駅員さんが付いて、乗り降りを補助していました。JR四国のキャラクター「すまいる えきちゃん」も猛暑の中、全力で手を降ってお出迎えです。ホームの多くを木に囲まれている津島ノ宮駅ですが、松山寄りまで歩くと、瀬戸内海がこんにちは。向かい見えるのは 粟島 です。改札口はゴザで覆われた、涼し気な夏仕様。ホーム自体に屋根はありませんが、休憩用のテントと椅子が置かれていました。ぱっと見る限り海の家にも見える木造駅舎。「つしまのみや えきちゃん」の顔とハートマークを見事に再現。きっぷもここで売られています。両方向合わせて15〜30分に1本程度の間隔で列車がやってくるため、のんびりとした時間はほとんどありません(写真は2018年8月4日の時刻表)。駅を出ると、目の前は蓮畑。出店がお祭り気分を掻き立てます。蓮畑を抜けて、駅の山側にある県道に出ると、駅と海を同時に見渡せます。駅から出店の並ぶ細い通りを抜け、海岸へ。津嶋神社の本殿のある津島と、そこに架かる人道橋「つしま橋」が見えました。橋の長さはおよそ250m。橋の袂で渡橋料(2023年は500円)を払い、いざ津嶋神社へ。この橋を渡れるのは、なんと夏季例大祭の2日間のみ。それ以外の期間は足元の板が外されて渡ることができません。年に一度の機会にと、多くの人が参拝に押し寄せます。タイミングによっては渋滞して先に進めなくなるほどでした。津島に到着。津嶋神社の本殿は、急な階段を登った先にあります。階段から振り返ると、対岸がずいぶんと遠くに見えました。津嶋神社は江戸時代から子どもの健康と成長の守り神として信仰されてきたのだそう(参考)。確かに、実際に子ども連れの家族を多く見かけました。本殿の裏からは、瀬戸内海を一望できます。そして、夕暮れ時に再訪。いっそうきらびやかな瀬戸内海が迎えてくれました。紅く染まった海に、筏の上で作業する人々を発見。8月4日夜の一大イベント、打ち上げ花火の準備のようです。そして日の入り。ここから空の色が一気に変わり始めます。この時間になっても、駅から降りる人が途絶えることはありません。昼間に比べて潮の引いた海岸には、夕景を見ようと多くの人が集まっていました。ライトアップされた津嶋神社とつしま橋も幻想的です。出店も絶えず賑わっていました。食事に困ることはまずありません。そして、20時頃から花火がスタート。ようやく暗くなった空に、200発の大輪が間隔を開けて夜空を彩ります(参考)。津島ノ宮駅には、8月4日は21時頃まで(5日は15時前後まで)列車が停まるため、その日のうちに高松に帰ることもできます。海に屋台に花火。たった1駅に半日以上滞在し、夏を満喫した一日でした。この情景を楽しめるのはまた1年後です。