正面には、宍喰の街並みと太平洋。振り返れば、四国山地の稜線と色とりどりの田んぼ。徳島県最南端の駅は、海と山の情景を一望できる展望台でした。1992(平成4)年の開業当初から赤字続きという阿佐海岸鉄道。最近では、宍喰駅の駅長をエビにしたり、世界初のDMV(線路を走れるバス)の導入を進めるなど、斬新な取り組みが光ります。この素敵な景色が、より多くの人に楽しまれることを願いつつ、再訪を誓いました。
宍喰駅
ししくい
- JR牟岐線の終点・海部駅で阿佐海岸鉄道に乗り換え、小気味よくトンネルを快走すること1駅。高架にある宍喰駅にやってきました。
- 宍喰駅は徳島県最南端の駅。隣の甲浦駅は、高知県最東端の駅です。
- 東側には宍喰の街と太平洋が広がります。手前に見えるのは小学校。海岸まではおよそ700mです。
- 一方の山側には、四国山地の稜線と…
- パッチワークを思わす、一面の鮮やかな田んぼ。時期は8月、太陽にきらめく緑が印象的でした。
- 海部寄りには、トンネルが見えます。1992(平成4)年開業の路線だけあって、全体的にトンネルと高架区間が多いです。
- ホームから降りて改札の外へ。駅の1階には窓口や待合スペースがあるほか、商工会の支所もありました。レンタサイクル も扱っています。ただ売店などはなく、人もまばらでした。
- DMV(デュアル・モード・ビークル) を模したオブジェもありました。2020年夏に、世界初の営業運行に向けて線路などの工事が進められています。
- 宍喰駅の外観は、アーチが印象的。町外れに位置しており、駅前にも小学校があるのみ。商店や幹線道路もなく、いたって静かでした。
- 駅から海にかけて商店が点在しているほか、海沿いに「道の駅 宍喰温泉」や「HOTEL RIVIERA ししくい」があります。なお、隣の甲浦駅〜JR牟岐線の牟岐駅を並行して路線バス(徳島バス南部)が走っていますが、宍喰駅前に停まる便は少ないため、600mほど離れた「宍喰祇園通」バス停の利用がおすすめ。また、室戸〜甲浦〜大阪方面を結ぶ高速バス(徳島バス)が道の駅に停まります。阿南駅〜甲浦バス停(甲浦駅から約1km)間に限っては途中乗降が可能です。
- 駅の山側にあるのは、広い空き地に、微妙な間隔で並べれられたベンチ。その背後からは延々と田んぼが続いていました。
- 緑から青へとグラデーション。豊かな自然あっての光景です。
- まもなく実りを迎える稲穂の絨毯と、宍喰駅。甲浦行きの列車がちょうど発車していきました。
- 駅に戻り、海部行きの列車で帰路へ。ヘッドマークには「天の川」。
- いわゆる「レールバス」型の車両でした。
- 列車に乗り込み天井を見上げると、なんと青い電飾が。実に華やかな天の川です。そして窓にはすだれと、地元の子どもたちが書いた短冊。短く、トンネルが多い路線でも楽しんでほしい、というローカル鉄道ならではの強い思いが伝わってきました。