薩摩高城駅 さつまたき 肥薩おれんじ鉄道 鹿児島県薩摩川内市(Open in Google Maps) 遠くに海を望むホームから、緑に囲まれた遊歩道を歩いて3分。視界がひらけると、青く透き通った浅瀬と白い砂浜が姿を現しました。ここは薩摩高城駅からしかたどり着けない、いわば「駅のプライベートビーチ」。もはや駅とは思えない場所ですが、列車の時間も忘れてのんびりしたくなってしまう、至福の空間です。 九州新幹線川内駅からおよそ17分。休日昼間の一方面の本数はおよそ1時間に1本。無人駅。 訪問:2016年9月、2017年4月 / 更新:2018年8月19日 「さつまたき」と読む薩摩高城駅。かつてJR鹿児島本線の駅だったこともあり、構内は広く、ホームは長く造られています。(2017年4月)そんな広いホームに、1両編成の小さな列車がやってきました。駅の西側に広がるのは東シナ海。緑とのコントラストが美しいです。海岸があるのは、この緑の林を抜けた先。(2017年4月)駅の隣を流れるのは湯田川。対岸には ヒラメの養殖場 があります。(2017年4月)養殖場の向こうにも海がちらりとお目見え。無人駅ながら、ホームに植えられた色とりどりの花が印象的でした。(2017年4月)跨線橋から南の川内(せんだい)方面を望む。写真左の道路は国道3号線で、しばしば車が行き交います。(2017年4月)国道から見た、薩摩高城駅の入口。駅舎はありません。駅前には 薩摩川内市の北部循環バス が停まなり、湯田川の上流にある集落や 川内高城温泉、肥薩おれんじ鉄道の川内〜西方駅間を結んでいます。(2017年4月)そして入口がもう一つ。こちらは人道から跨線橋に直結しています。跨線橋を渡り、いよいよ海岸へと向かいます。(2017年4月)跨線橋から海側のホームに降りてすぐ左に曲がると、海へ誘うかのような真新しい遊歩道。足を踏み入れずにはいられません。(2017年4月)探検気分で林を歩くこと3分…(2017年4月)視界が一気にひらけ、砂丘の谷間から真っ白な砂浜と青い水平線が顔を出しました。駅の横を流れていた湯田川もここで海に合流します。(2017年4月)実はこのビーチや遊歩道は、荒れたままの海水浴場跡地だったそう(参考)。肥薩おれんじ鉄道の職員の方たちがおよそ2年かけて再整備し、地元の方が清掃を行って今の姿があるそうです(参考)。(2017年4月)海岸では何かとハートマークが目に付きますが、これは正面の岩のくぼみ(写真右)がハート型に見えることが由来のよう。地元の方はこの岩を「ハートロック」と呼び、わかりやすくボードも設置しました(参考)。(2017年4月)手前の穴から海のほうを見ると、ちょうど「ハートロック」が見える仕掛けです。ちなみに奥のボードの裏側には、訪れた人がペンでメッセージを書き込めます。(2017年4月)右奥に傾いた、かなり立体的なハートでした。(2017年4月)さらに海岸には、地元の菅原道真伝説にちなんだ「放ちの鐘」も置かれました。(2017年4月)海岸は西向きのため、夕暮れ時もまた素敵です。(2016年9月)「放ちの鐘」の北には、なだらかな砂浜も続いています。海水浴場ではありませんが、泳ぎたくなるほど水は澄んでいます。(2017年4月)さらに北には起伏に富んだ地形の「西方海岸」が続き、人形岩 といった奇岩も並びます。(2017年4月)そして、遊歩道を少し戻り、脇道から階段で砂丘に上がると…(2017年4月)そこは開放感抜群の展望台でした。(2017年4月)ホームのほうを振り返ると、森のはるか向こうに跨線橋が見えました。車と列車が通る音は聞こえますが、辺りは建物も少なく自然にあふれています。(2017年4月)遊歩道の周りにはところどころベンチがあり、さまざまな風景を楽しみながら休むことができます。(2017年4月)海側のホームには「薩摩高城駅 開発ものがたり」と題されたギャラリーがあります。整備前から完成に至るまでの軌跡が写真でずらりと並ぶ様子はまさに圧巻。地元の想いと「開発」が実って、今では豪華寝台列車「ななつ星」や観光列車「おれんじ食堂」も停まる、小さな観光地になりました。(2017年4月)