西戸崎駅 さいとざき JR香椎線 福岡県福岡市東区(Open in Google Maps) 博多湾越しに市街地のビルや港のクレーン群。一方、手前の原っぱでは少年たちが野球をする姿。博多から列車では40分、渡船なら15分で行ける小さな終着駅・西戸崎駅から見えたのは、そんな都会と穏やかな景色との対比です。駅前から志賀島行きのバスに乗れば、博多湾と玄界灘を同時に望む大パノラマにも出会えました。 訪問:2022年10月(一部2012年10月) / 更新:2024年5月3日 西戸崎駅への旅は、朝の博多港からスタート。西戸崎駅のすぐ近くまで 福岡市営渡船 で行くことができるのです。船は凪の博多湾を一定の速度で進みます。窓の外には、大都会の街並みとたくさんの船。わずか15分で西戸崎に到着。船からは西戸崎駅に停車する列車が見えました。花に囲まれ、のびのびとした雰囲気の船の待合所。ここでは作者を含め3人ほどが下船しました。歩いて3分ほどで西戸崎駅に到着。立派なガラス張りの駅舎は、JR九州で数々の車両デザインを手掛ける水戸岡鋭治氏によるデザイン。ヨットをイメージしたもの だそう。中に入ると、高い天井が印象的です。窓口のスペースもありますが、2015年には無人化されました。そして、改札越しに博多湾が見えました。対岸には市街と三郡山地の山並み。到着した列車も、水戸岡氏のデザインによるものです。屋根がなく開放的なホームからは、先ほど降り立った桟橋も見えました。西戸崎駅は香椎線の終着駅。列車は折り返して発車する時をのんびりと待ちます。近代的なデザインの列車の向こうには、開発が進む福岡アイランドシティ。「キリン」とも呼ばれるコンテナクレーンの中にひとつだけ、キリン柄のクレーンが見えました。駅と海の間に広がるのは野球場。ちょうど子どもたちが練習をしており、元気な声がホームまで響いていました。ただ、かつてはここに「高層マンション建設予定地」の看板がありました。写真は2012年に訪れたときのもの。当時は近い将来に海が見えなくなることを覚悟していたので、意外な展開でした。(2012年10月)一方で、駅前や周辺には大きなマンションや住宅が立ち並び、人寂しさは全くありません。線路を渡って、海側にあるホームへ。隣駅にある名の通り、ここは約8kmにわたって伸びる砂州「海の中道」に位置しており、香椎線の愛称も「海の中道線」です。海側のホームからは、少しだけ開放的な眺めに。大都会の上を、福岡空港を発着する飛行機がひっきりなしに行き交っていました。手前には野球場の原っぱ。海を挟んで時間の流れがまるで違います。駅前も散策。ハリウッド風のロゴが迎えてくれますが、これはかつて西戸崎に米軍基地があったことにちなんだ町おこし「SAITOZAKIアメリ化再現プロジェクト」の一環だそう。駅前を通る道沿いには、飲食店や商店が点在します。その駅前から、ある景色が見たくて志賀島方面に向かうバスに乗りました。しばらくすると、道の両側に砂浜と青い海の大パノラマ。まさに「海の中道」の名に相応しい光景です。なお、左手は博多湾で、右手は玄界灘。ここは2つの海を同時に見られる珍しい場所なのです。西戸崎駅から20分ほどで、陸続きの志賀島へ到着。志賀島には先ほどの渡船で訪れることも可能です。先ほどバスで通った志賀島橋より、西戸崎方面を望む。左右で波の立ち方がまるで異なります。博多湾のほうを向くと、穏やかな博多湾越しに霞む、市街地の高層ビル群。一方、玄界灘のほうを向けば、島らしいのんびりとした海岸と、雄大な玄界灘の水平線。都会と島、内海と外海。博多の目と鼻の先に、素敵な対比を味わえる場所がありました。