凍てつく冬の朝、大船渡の街を歩いて抜けて、ようやくたどり着いた陸前赤崎駅。小高い築堤の上から振り返れば、更地がまだ残る大船渡の街並みと、北上山地の山並みを一望できました。目を凝らせば、600m先に、青く光る大船渡湾。津波ははるか遠くから、この足元までやってきたようです。駅から見える景色が、少しずつでも賑わいを取り戻すことを願わずにいられませんでした。
陸前赤崎駅
りくぜんあかさき
- 2016年2月のある朝。宿のある旧大船渡駅周辺から、大船渡湾の対岸にある陸前赤崎駅を歩いて目指すことに。距離は約3km。震災から5年後とはいえ、周囲にはまだ更地が多く、街灯すらないような状況でした。
- この辺りは8.1mの津波が襲ったそうです。
- 途中、太平洋セメント大船渡工場の間を抜けていきます。
- 歩くこと約40分、陸前赤崎駅が見えました。
- 築堤の上にある陸前赤崎駅。それでも、地震でホームが陥没するなどの被害を受け、駅を移設しています(参考)。かつては写真のより手前側にあったようです。
- 新しい駅では、ホームの待合室に加え、隣に資料室を兼ねた待合室が設けられました。
- 駅より海側はまだほとんど更地で、生活感はありませんでした。
- 駅へと続く坂を上り、ひと休み。振り返ると、大船渡の市街地を一望できました。震災直後の写真 を見る限り、辺り一帯には住宅が広がっていたようです。
- 奥に見えるのが北上山地。そして中央に青く見えるのが、奥行き約6kmにも及ぶ大船渡湾 です。湾の奥に大船渡の街が広がります。駅から海岸までは約600mあり、こうして見る限りは、遠く穏やかな海にしか見えません。
- 駅の山側には何軒もの住宅が並んでおり、津波の爪痕はほとんど見られませんでした。
- 一方で、集団移転のための新たな宅地開発 も行われていました。
- 陸前赤崎駅のキャッチフレーズは「貝塚めぐり」。
- 駅の周辺に貝塚が点在していることが由来のようです。陸前赤崎駅から最も近いのが国指定史跡の「大洞貝塚」。
- ホーム下の待合室に、大洞貝塚の資料を展示しているという案内があったので、お邪魔してみます。
- 大洞貝塚をはじめ、周辺の貝塚について、複数の資料が展示されていました。大船渡市は全国的に見ても貝塚が密集している地域なのだそう。
- そろそろ列車が来るので、今度はホームの待合室へ。
- 中はいたって普通の待合室ですが、小学生が作ったという折り鶴を見て、冬の無人駅にひとりでいながらも、ふと心が温まりました。