大隅夏井駅 おおすみなつい JR日南線 鹿児島県志布志市(Open in Google Maps) 日南線で宮崎駅から普通列車で3時間弱。大隅夏井駅は、終点の志布志駅のひとつ手前にある小さな無人駅です。誰もいない待合室の窓枠を通して眼下に見えたのは、南九州の物流拠点・志布志港。南国情緒ある静かな丘の上に位置する駅とは対象的な光景が、印象に残りました。 訪問:2016年9月 / 更新:2023年7月1日 9月のある日、午前8時半。夏の爽やかな朝に訪れたら、アサガオとヤシ科の木々が出迎えてくれました。ここ大隅夏井駅があるのは、日南線の終点・志布志駅の隣。ところで、もうひとつの隣駅は「福島高松」というワープ感ある駅名。しかも県境を越えて宮崎県にあります(混乱)。標高が25mほどあり、周りも小高い丘が囲む立地。海が近そうな雰囲気ではありませんが、駅名標の隣をよく見ると…アサガオ越しの、志布志湾が眼下に見えました。向きを変えれば、志布志国際コンテナターミナルも。志布志港 は南九州の物流拠点だそう。駅そのものはいたってシンプル。屋根のないホームひとつと、待合室を兼ねた駅舎がぽつり。列車の本数も、一方向で1日約10本。それでいて、近くにはバス停もありません。大小のベンチが並ぶ、待合室の窓の向こうにも海。コンテナターミナルと、海沿いにびっしりと立つ工場・倉庫群もひと目に収まりました。緑に囲まれてのんびりとした大隅夏井駅とは対象的です。扉のない出口を抜けて、駅前へ。白い駅舎のガラス張りのスペースが、先ほど窓越しに海の見えた待合室。広い空が印象的な駅前。目の前を横切るのは国道220号(448号と重用)。その向こうには、海にかけて小さな集落が広がります。駅舎のそばにあった「夏井集落案内板」。年季が入った手書きの地図です。駅の南西には ダグリ岬遊園地 の文字。調べてみると昔ながらの遊園地のよう。他にも、海水浴場や国民宿舎などが徒歩圏内。この日は時間がなく、散策できなかったのが悔やまれます。さらにその隣には、1930(昭和5)年に志布志を訪れた 種田山頭火 の句碑。「線路へこぼるる 萩の花かな」。放浪の俳人もきっと、志布志湾や線路を眺めて思いを巡らせたのでしょう。