今にも朽ちそうな木造駅舎に、ホーローの駅名板。そのはるか先には一面の噴火湾。渡島砂原駅で出会ったのは、「郷愁」という言葉にぴったりの情景でした。「渡島富士」こと北海道駒ヶ岳の生み出した高低差が、遠く離れた海を、より広く大きく映します。
渡島砂原駅
おしまさわら
- もう雪も融けた4月の下旬。函館本線の森駅から砂原支線に入り、1両編成のディーゼルカーで渡島砂原駅へ。
- 広々とした構内ですが、停まる列車は1日にわずか6往復のみ。森方面にいたっては、7時台の次がなんと15時台です(2020年2月時点)。支線のため特急も通らず、のんびりとした時間が流れます。
- 渡島砂原駅の見どころは、木造駅舎の先に見える噴火湾。駅は北海道駒ヶ岳の裾野にあり、標高はおよそ35m。
- 木造駅舎はかなりの年季の入りよう。渡島砂原駅は、現在の場所では1945(昭和20)年の開業ですが、それ以来駅舎が建て替えられたかは定かではありません。
- 中に入ると、広々とした待合室が広がっていました。
- 地元の子どもが描いたと思しき「大さわらマップ」。駅のおよそ400m北に砂原漁港が、およそ2km西に道の駅「つど〜る・プラザ・さわら」があります。
- 渡島砂原駅の駅舎は、まるで牛舎を彷彿とさせる外観。未舗装の地面、広い空が余計にそう思わせます。
- 駅名板の書体が最高にチャーミングでした。
- 駅前に立てば、国道との交差点の先に、砂原漁港と噴火湾が広がります。車と船がしばしば行き交い、もの寂しさはありません。
- 駅前を通る国道278号線。この直線ぶりはさすが北海道。
- 振り返れば、渡島砂原駅の駅舎と、「渡島富士」とも呼ばれる北海道駒ヶ岳とのツーショット。
- そばには小さな集落があるのみで、お店の類は見当たりません。
- 駅前の交差点をまっすぐ進むと、海へと続く坂道が。海沿いには旧砂原町の市街地が広がっています。また、海岸沿いの道道を 函館バス 砂原線が通っており、森駅までは砂原支線と並行しています。ただし、バスも1日5〜6往復です。
- さらに下ると、森町郷土館 が唐突に出現。人影はなく、営業しているかは外から確認できませんでした。
- 坂道はこのまま漁港のほうへと続いていました。
- 次の列車を逃すわけにはいかないので、ホームへと戻ります。
- 朽ちかけた木造駅舎、ホーローの駅名標、穏やかな海。このアングルはとても貴重です。
- 駅の両脇は林。いささか高原の駅にも見えてきます。写真右の線路が白くたわんで見えますが、これは 融雪期の急激な温度変化 によるもののようです。訪問時は、列車も徐行を余儀なくされていました。
- ふと足元を見ると、遅めの春が訪れていました。