手書きの駅名標に、待合室に置かれた座布団と机。小串郷駅は無人駅のようにこじんまりとしながらも、地元の方が管理する有人駅です。待合室から望むのは、大村湾にある小串浦。戦時中、ここに海軍の訓練所が置かれたことが駅誕生のきっかけだそう。戦後には廃止の危機を迎えますが、地元の思いによって駅は残され、今でも大切に守られています。
小串郷駅
おぐしごう
- 手書きの駅名標が迎えてくれた、小串郷駅のホーム。10月の夕暮れに訪れました。
- 足元ではたくさんのコスモスが開花を待っていました。地元の「心の花を育てる会」の方々がボランティアで花を育てているそう(参考)。
- 味のある手書きの駅名標は駅舎にも。その隣には「駅長帽をかぶって記念撮影しませんか?」という手作りの看板。降りるまでは無人駅だと思っていましたが、地元の方が管理する有人駅でした。駅のスタンプもある様子。ただこの日は残念ながら、窓口の営業は終わっていました。
- 駅舎に入ると、座布団がていねいに並べられたベンチが中央に。駅には珍しく、木の机も置かれています。入口に飾られた数多くの賞状は「心の花を育てる会」が数々のコンクールで受賞した際のもの。駅への愛情が伝わってきます。
- 心温まる駅舎から、ちらりと海が見えました。大村湾にある小串浦です。対岸に見える建物は、大崎半島にある「国民宿舎くじゃく荘」。
- 小串郷駅の駅舎は赤い屋根が特徴。入口の看板もまた手書き。愛らしさにあふれています。
- 入口脇の看板によると、戦時中に海軍が 魚雷艇訓練所 をこの地に移したことがきっかけで、小串郷駅が誕生。戦後には駅廃止の方針が示されたものの、地元の努力によって駅が残されたそう。小串郷駅には、当時からの思いが今でも脈々と受け継がれているように感じました。
- 駅前に目を向けると、そこは小さなロータリー。周囲には「ペルル」というかわいらしいパン屋さんと住宅があります。裏手を通る国道の車の音を除けば、辺りはとても静かでした。
- こんどは駅の隣にある歩道橋へ。視界が一変して、小串浦と対岸の大崎半島に加え、大村湾の対岸にある西彼杵半島まで姿を現します。
- そのまま線路を越えて山側へ渡ると、海に加え、黄金色に輝く田畑、そして小串郷駅を同時に見下ろせました。
- 小串郷駅にも夕日が差し込みます。
- この情景を前に、郷愁を感じずにはいられませんでした。
- 山側の斜面にも住宅や田畑。生活感のある風景です。
- 最後に、駅前から海へと向かいます。
- 海岸まではわずか100mほど。ごく小さな浜があったので、降りてみました。
- 内湾の大村湾からさらに奥まった場所にあるため、湖かと思うほど波は静か。
- 海水もこの上ないほどに透き通っていました。
- 列車の時刻に合わせて再び駅へ。秋の夕暮れも素敵でしたが、こんどはホームの花々が咲く時期に訪れようと思います。