三国港駅 みくにみなと えちぜん鉄道三国芦原線 福井県坂井市(Open in Google Maps) 福井駅から、えちぜん鉄道でおよそ50分。三国港駅は、北前船の拠点にもなっていた港町にある終着駅です。ホームの目と鼻の先には、九頭竜川沿いに広がる三国港。目を凝らせば、河口の先に日本海が迎えてくれます。大正時代から引き継がれた木造駅舎は趣たっぷり。辺りにもいにしえの街並みが残るほか、北には名勝・東尋坊も。見どころには事欠かない駅です。 訪問:2020年10月 / 更新:2022年10月22日 三国はかつて北前船の拠点になっていた港町。この日は隣の三国駅近くの宿から、古い街並みの残る通りを歩いて、三国港駅へと向かいました。えちぜん鉄道を越える「眼鏡橋」を過ぎれば、三国港駅はもうすぐ。橋については後述します。列車がちょうど三国港駅に到着しました。写真右の家の後ろにホームが見えます。住宅街の中にある細い坂道を降りた先に、三国港駅前の小さな駅前広場があります。三国港駅は終着駅のため、到着した列車は折り返して行きました。三国港駅の駅舎は、大正時代に建てられた旧駅舎を引き継いで2010年に改修されたもの。サッシも扉も木製で、間近で見るほどに趣を感じます。駅舎の脇から、ホーム越しに青い水面が顔を出しました。駅前広場はベンチや駐輪場が置かれた、小ぢんまりとしたもの。休日の朝だったためか、人の姿はほとんどなく静かでした。駅舎に入ると、想像以上に明るく感じます。窓面が多く、天井が高いためでしょう。訪れた当時(2020年)は窓口があり、えちぜん鉄道のグッズも売られていましたが、その後無人化されました。今度はホームへ。線路と県道の向こうを流れるのは海…ではなく、実は九頭竜川。福井県を代表する河川です。ただ、よく見ると奥に河口、つまり日本海が見えます。三国港駅は、海と川が同時に見える駅なのです。西の方角にあるため、海に沈む夕日もよく見えることでしょう。ホームの福井寄りには、駅舎とは別に観光情報施設と乗務員宿舎を兼ねた建物があります。当日は中に入れませんでしたが、内部には路線の歴史を紹介するパネルがあるほか、2階のガラス張りの部分は展望スペースになっているそうです(参考)。そして、そのさらに福井寄りに見えるのが、先ほど通った眼鏡橋。上を通ると気づきにくいのですが、レンガ造りの立派なアーチ橋で、国の登録有形文化財に指定されています。ホームにあったパネルによると、眼鏡橋は明治末期から大正元年に架けられたもの。「ねじりまんぽ」という、レンガをねじ曲げたように積み上げる特殊な工法が使われているそうです。一方の福井方面と反対側。三国港駅は終着駅のため、この先で線路は途切れています。小さな構内踏切を通って、九頭竜川へと出てみます。線路と県道を越えた先にある九頭竜川。河口には「エッセル堤」とも呼ばれる、長さ511mの 三国港突堤 が伸びます。目を凝らすと、日本海の荒波が突堤に激しく打ち付けて、白い飛沫を上げていました。この突堤の向こうには 三国サンセットビーチ の砂浜、そしてさらに北には名勝の 東尋坊 があります。東尋坊までは 荒磯遊歩道 から徒歩で行けるほか、京福バス でも三国港駅前から5分の距離です。駅前の九頭竜川沿いは三国港を形成していて、この日は漁船もずらり。三国港では越前がにが水揚げされており、皇室にも献上されているのだそう(参考)。県道側から見た三国港駅。かつては国鉄の駅だったこともあって、ホームは2両編成の列車が持て余す長さでした。発車を待つ列車と、眼鏡橋。駅を発つ前にもう一度、ホームからの海。静かな九頭竜川の向こうで、日本海が相変わらず存在を主張していました。