夕焼けの余韻を残すグラデーションに、島々のシルエット。足元には弧を描く線路が光り、帰途につく人々を乗せた列車がゆっくりと到着します。瀬戸内海を望む無人駅、小屋浦。昼間の爽やかな海の青と山の緑も美しいですが、マジックアワーにこそ訪れがいのある駅でした。
小屋浦駅
こやうら
- 初夏、砂浜を望む 水尻駅 を後にして、ひとつ隣の小屋浦駅に下車。視界には鮮やかな緑が広がりました。
- 西を向けば、緑の隙間からちらりと瀬戸内海。隣の水尻駅に比べると海の気配は遠ざかりますが、それでも海岸まではおよそ100mしかありません。
- ホームの呉寄りからも海が顔を覗かせました。奥に見えるのは、瀬戸内海で4番目に大きい江田島です。
- そして小屋浦駅で最も眺めがよい場所が、跨線橋の上。弧を描くホームと、海の青、そして島々やせり出す山の爽やかな緑とのバランスがなんとも絶妙です。
- 駅の海側には車通りの多い国道31号やプレス工場があるため、そこそこ賑わいがあります。ただ、その向こうには穏やかな瀬戸内海の多島美。江田島だけでなく、写真右手には似島、奥にはうっすらと厳島も見えました。
- 海側に対して、山側には深い谷が広がり、その谷筋に沿って家々が立ち並んでいます。
- ホームを出て少しだけ駅前を見に行きます。
- ホームと駅舎の間には高低差があり、その斜面には色とりどりの花が咲く花壇がありました。
- 現在は無人駅の小屋浦駅。小さな駅舎の誰もいない改札口を抜ければ、すぐに駅の外です。
- 山側にある駅前には大通りや店という店もなく、非常に静か。ただ、列車が到着するたびにぱらぱらと地元の人が乗り降りし、ほどよい人の気配がありました。
- 線路沿いを呉方面に2分ほど歩けば、海へと注ぐ天地川に行き着きます。この上ないほどに澄み渡る水面が印象的でした。天地川の左岸を下れば、そのまま海岸に出ることもできます。が、このときは残念ながら時間切れ。
- 日没後、再び小屋浦駅に下車。マジックアワーもいよいよ終わりに差し掛かろうという時間帯、跨線橋に上がると、昼には想像もできなかったグラデーションが視界いっぱいに広がりました。
- 島々の稜線も、昼間よりはるかにくっきりと。ゆっくりと横切るフェリーにも明かりが灯ります。
- 夜の7時半。帰りの列車が到着するまでの間、誰もいない駅で暮れゆく空を眺めるひととき。夕刻に再訪してよかったと心から思えました。