小高い崖の上にある風早駅から見下ろすのは、重なり合う大小の島々に、カキの養殖筏と漁船、そして澄み渡る海。瀬戸内海の魅力を凝縮したような情景です。駅の周りに点在する家々や、行き交う人の姿もあるおかげで、日常の暮らしと自然美があまりに心地よいバランスで共存していました。
風早駅
かざはや
- 広島駅から呉線でおよそ1時間半。5月初旬の午後、青空のもと、風早駅の屋根のないホームに下車。
- 東に目を向ければ、瀬戸内海がちらり。この海は三津湾というそう。
- さらにホームの広島寄りは視界がひらけ、フェンス越しに無人島の龍王島や、大芝島が見えました。駅は高台にあるため、より開放的に感じられます。
- しかし、風早駅いちばんのビューポイントは跨線橋の上。駅と周辺の家々が醸す生活感とともに、清々しい青の海と島々を一望できます。海に点々と浮かぶのは、カキの養殖筏。海の見える駅ならではの、日常と自然美の共存に心癒されます。
- しばらくすると、列車が到着。ドアが開くたびに誰かしら乗り降りする姿が見られたのにも、どこか安心しました。
- こちらは以前訪れた2006(平成18)年の写真。当時のほうが人の姿が多かった記憶はありますが、17年前もほとんど変わらない景色でした。(2006年4月)
- 跨線橋からは造船所も見えます。
- 海側のホームに下りると、駅舎と一体化した大きな庇が迎えてくれました。
- 出口のほうを向けば、正面にも建物越しの海。無人駅のため、改札口もありません。
- 吸い寄せられるように駅の外へ。年季の入った建物と海だけが見える、ぜいたくすぎる駅前風景。左手の喫茶店ではかつてJRの切符を売っていたそうですが、現在は営業している様子もなさそうでした。
- ただ、ヤマザキショップはちゃんと営業中。地元の方がたびたび買い物に訪れていました。
- 振り返って、風早駅の駅舎。海側には窓すらない、非常にのっぺらぼうでのっぽな造り。ただ、駅名の文字に味があります。
- 駅の突き当たりの道は県道らしく、左に折れた先には食事処や理髪店が点在していました。
- 他方、右に進むとすぐに建物がなくなり、崖下を通る国道185号と海が見えました。清々しい散歩コースです。
- 改めて海を見ると、カキの養殖筏や漁船の多さにびっくり。国道沿いにはカキの直売所もありました。また近くに 農産物直売所 もあり、暇を持て余すことはまずなさそうです。
- 海沿いを散歩して線路を渡り、山側の道へ。海とホームがちらりと見える路地があったので下ってみると…
- まるでワープしたように、三原方面のホームに到着。路地は風早駅の“勝手口”だったようです。駅の中だけでなく、周辺を歩く甲斐もある駅でした。