熱海から普通列車でわずか8分。伊豆多賀駅は、高台にまるで別荘のようにひっそりと佇む無人駅です。春、その木造駅舎の改札越しに見えるのは、桜と相模灘。出口を抜ければ、桜のトンネルと花びらの絨毯が広がる駅前広場。近くを歩けば、海を望む坂道ばかり。春も、そうでなくても、旅情を誘う景色に出会えます。
伊豆多賀駅
いずたが
- 4月上旬、伊豆多賀駅に降り立つと、辺りは見渡す限りの新緑。海の開放感とは対象的に、木々と竹林に囲まれてひっそりとした様相です。
- しかし、ホームで駅舎の正面に立てば、瀟洒な窓と改札越しに、淡いピンク色と青の光。
- そう、伊豆多賀駅は駅舎を額縁にして、海と桜が出迎えてくれる駅なのです。
- 少し角度を変えれば、相模灘の水平線。
- 駅舎の脇などホームの所々から、海と桜がちらりと見えます。
- 桜越しに見える対岸は、隣の網代駅周辺です。
- 山側にあるホームの最も伊東よりまで歩くと、正面には9kmほど離れた初島の姿。ここからは桜こそ見えませんが、ミカン畑やヨットが景色のよいアクセントになっていました。
- 地下道を通って、駅の海側にある駅舎へと向かいます。
- 窓が大きくて明るい駅舎は、1935(昭和10)年の開業当初からあるようです。かつては有人駅でしたが、壁際のベンチや木のサッシなど、無人駅となって改装されてもかつての面影を残します。
- そして出口に立てば、駅前広場と桜と海を俯瞰。駅舎の中にも桜の花びらが舞い込んでいました。案内板にある通り、駅前から国道135号に通ずる「桜坂」、晩秋に咲く「ヒマラヤ桜」など、周囲にも桜を謳う名所が多いよう。
- 駅を出るとすぐ、桜のトンネル。駅は標高50mを超える高台にあり、見晴らしは抜群。海沿いに広がる街や大通りからも離れているため、人や車はまばらです。
- 海からのそよ風に桜吹雪の舞う、駅前広場。
- 満開から1週間ほど経っており、足元には一面、桜の絨毯が広がっていました。
- 広場には誰が置いたか、いくつものベンチ。それでも花見をする人がいないほどに静かな駅前。春の野花ものびのびと咲き誇ります。
- そんなひっそりとした駅前ですが、昔からある商店が一軒だけ営業していました。ケースに入ったアイスを買って、広場のベンチでお花見なんてのも一興です。
- なお、駅前からは海に向かって何本かの坂道が伸びています。左手に進めば、趣あるこのカーブ。
- 右手に続くのが先述の「桜坂」ですが、実はそれほど桜は多くない様子(参考)。代わりに目を引かれたのが、桜坂から分かれ、今にも海へと駆け出したくなる細い急坂。
- さらに、駅前右手から線路沿いに伸びる上り坂は「さくらの名所散策路(四季の道)」。植えられているのはあたみ桜や河津桜、ヒマラヤ桜など、早咲きの桜が多いそう。散策はまたの楽しみとしましょう。
- それでも眺めは抜群。眼下には 長浜海浜公園 で遊ぶ人々の様子も見えます。
- そのすぐ後ろには、海を見下ろす踏切。伊豆多賀駅のそばには、桜の季節に限らずとも旅情をそそる景色にあふれていました。