伊予寒川駅 いよさんがわ JR予讃線 愛媛県四国中央市(Open in Google Maps) 四国の高松と松山のちょうど真ん中あたりに、瀬戸内海を望む無人駅がありました。標高1,000m級の法皇山脈のふもとに位置し、春や秋には日本三大局地風のひとつ「やまじ風」が山から吹き降り、列車が運休することもあるそう。訪れた日は幸い穏やかで、ゆっくりと海の景、山の景を満喫できました。 *2019年頃に海と駅の間に製紙工場が建設され、写真から眺望が大きく変わっています。 訪問:2017年1月 / 更新:2020年8月30日 午前9時、爽やかな冬の朝。列車を降りて跨線橋に上ると、山の斜面には点在する家々が見えました。生活感のある景色です。伊予寒川駅の南には、標高1,000m級の法皇山脈が迫ります。一方で北を向けば、瀬戸内海の燧灘(ひうちなだ)。香川県西端の伊吹島や、無人島の股島が見えました。伊予寒川駅のある四国中央市は、紙製品の工業製造品出荷額日本一 を誇る、紙のまち。近くに数々の製紙工場が見えます(写真右)。ときおり、松山と高松・岡山を結ぶ特急が通過していきます。ホームは2つありますが、主に使われるのは駅舎寄りの1番線。すれ違いの必要な場合に、海寄りの2番線が使用されます。訪問した2017年1月時点では、ホームからも田んぼ越しに海が見えました。しかし、2019年頃、田んぼのあった場所に 製紙工場が建設された ため、眺望は大きく変わっていると思われます。大小問わず、行き交う船は数多し。駅舎内からも海が見えました。ホームの向こうに見えるカーブした護岸は、人工の海水浴場「寒川豊岡海浜公園ふれあいビーチ」。直線距離では300mほどですが、駅から向かうには迂回する必要があるため、1kmほど歩きます。パステルカラーの駅舎。無人駅ですが、列車の時間が近づくと、ぱらぱらと人がやってきました。ちなみに、伊予寒川駅は「書道ガールズ!! わたしたちの甲子園」のロケにも使われました。駅前は静かな住宅地。正面の法皇山脈が壁のように立ちはだかります。春や秋には「やまじ風」という強風が、太平洋側から山を越えて吹き降ります。日本三大局地風にも数えられ、駅で出会った地元の方曰く、瓦屋根が吹き飛ばされたり、鉄塔が倒壊したりしたこともあったとか。予讃線もこの風によってしばしば運休します。この日は幸い、ほぼ無風。駅舎越しに瀬戸内海も見えましたが、波の穏やかなこの海からは、やまじ風の凄まじさはまったく想像もつかないのでした。