飯井駅 いい JR山陰本線 山口県萩市(Open in Google Maps) ここは山口県の飯井駅。ホームに降り立ち下を見れば、石見地方の特産、石州瓦の赤い屋根の集落がありました。そして、その向こうに広がるは青々とした日本海。小さな湾になっており、波も穏やかです。駅前で出会った老父が言っていました。「なんにもないけど静かで“いい”ところだよ、なんてね」。 下関駅から普通列車で約2時間半。本数は2〜3時間に1本。無人駅。 訪問:2012年10月 / 更新:2014年12月2日 山陰のリアス式海岸沿いを走る山陰本線。ここ飯井駅に降り立ってしゃがんで見える景色は、まるで山間のようです。後ろを向いても山の中にいるよう。それだけ地形が険しいのです。しかし、目線を高くすれば、海辺の景色が広がります。眼下には石見地方の特産、石州瓦の赤い屋根が連なる集落があります。駅の周辺を散策してみます。駅から降りる斜面に、朝日に照らされるススキの穂がありました。駅前の商店と思わしき建物。それ以外には特に郵便局もコンビニもない様子でした。駅前にあるこの小道、実は山口県の県道だそう。とはいえ車もほとんど通らず、かといって近くに広い道路もないため、辺りは常に静かでした。線路はこんなに高いところを通っています。眺めもいいはずです。谷間には幾つもの川が流れています。川に沿って谷を下ると、ほんの2〜3分で海岸に到着しました。地元の方曰く「漁船が来ないから油が浮かず、夏には泳げる」という海岸。確かに海水は砂浜の底が見えるほど透き通っていました。無防備に干された海藻が、この場所の穏やかさを体言しています。21世紀に生きていることを忘れさせるような、ゆったりとした空気が流れていました。改めてホームから見下ろす海岸。用はなくてもまた訪れたくなるような場所でした。山の隙間から帰りの列車がやって来ました。乗ったのは案の定、私一人だけでした。