甫嶺駅 ほれい 三陸鉄道リアス線 岩手県大船渡市(Open in Google Maps) 薄暮のホームを照らす、列車のヘッドライト。明かりの向こうには、穏やかな越喜来湾と再建の進む防潮堤がありました。3.11ではこの海岸にも津波が押し寄せましたが、三陸鉄道の築堤が防潮堤の役割を果たし、山側の家々を守ったのだそう。列車のドアが開くと、学生さんがひとり降りていきました。「三鉄」は今でもこの地域に住む人の大切な足になっています。 東北新幹線新花巻駅から釜石線と三陸鉄道リアス線で約2時間半。本数は1〜3時間に1本。無人駅。 訪問:2007年3月、2016年2月 / 更新:2018年9月29日 この日は隣の 三陸駅 から歩いて訪問。誰もいない山道を歩いておよそ1時間、真新しい築堤の先に甫嶺駅が見えました。(2016年2月)築堤の上にある白い建物が待合室。駅舎はありません。地上にある小さな小屋はトイレです。(2016年2月)駅前には小さなロータリーと駐輪場もありました。幹線道路からは一本それた道沿いにあり、車通りはほとんどありませんでした。(2016年2月)ホームに上がると、越喜来(おきらい)湾を見下ろせます。時は夕暮れ。越喜来湾の南側に伸びる半島の稜線が映えました。(2016年2月)海岸では堤防と水門を築く工事が進んでいました。これらは2018年に完成しています(参考)。(2016年2月)2007年の写真。当時から堤防はありましたが、津波は軽々と乗り越え、三陸鉄道の線路も流しました(参考)。一方で、三陸鉄道の築堤が防潮堤の代わりになり、線路より山側の被害は比較的軽微だったようです(参考・PDF)。(2007年3月)待合室や駅名標といった設備も、震災前からのものが使われていました。ちなみに、駅名標にある甫嶺駅の愛称「金のしずく」は「駅の西側にそびえる今出山に、かつて金山があり町が栄えていたこと」が由来だそう。(2016年2月)ホームにあった、甫嶺駅周辺の地図。「陶芸窯」というのはおそらく「さんりく陶芸工房」を指していると思われます。越喜来小学校はもともと三陸駅の海側にありましたが、津波の被害に遭い、甫嶺小学校などと統合。現在は三陸駅の山側に移転しています。(2016年2月)駅の山側には古い家々の残る集落が広がっていました。(2016年2月)待合室に入ると、きれいなベンチに、整理された本棚がありました。地元の方が10年以上にわたり清掃を続けてきたそうです(参考)。(2016年2月)待合室からも海が見えます。寒いのでひと休み。(2016年2月)しばらくして、宮古行きの列車が到着。甫嶺駅を必要とするお客さんの姿を見て、安堵したのでした。(2016年2月)