波根駅 はね JR山陰本線 島根県大田市(Open in Google Maps) 家々の隙間から顔をのぞかせたのは、青く澄んだ日本海。ちょっとしか見えないのに、集落の懐かしい風景と相まって、旅人の胸を高鳴らせます。木造駅舎を抜けて、好奇心のままに海岸に出れば、大迫力の奇岩と、海鳥たちがのびのびと過ごす浜がありました。 訪問:2018年11月 / 更新:2021年11月28日 出雲市駅から普通列車で約40分の場所にある波根駅。日本海がよく見える駅、田儀駅 の隣にあります。周囲には空き地と家々が点在していますが、その隙間から見事な青い日本海が見えました。ホーム上には年季の入った上屋。ただ、現在は撤去されてしまっているようです(参考)。傾いた柱、ボロボロの天井の向こうに見える、日本海と赤い石州瓦の家々。ノスタルジアの塊のような光景でした。隣の田儀駅とは違い、海はちらりとしか見えないのですが、なぜか気分が高まります。広々としたホームの中央部は砂利敷。端まで歩いて、奥にある駅舎へ。無人駅ながら、広くてきれいな待合室。かつて駅の事務室だった場所は自治会館になっているようです。訪れた日も集まりがあり、中から地元の女性たちの談笑が絶えず聞こえてきました。待合室にはトイレもありますが、なかなかユニークな入口です。木の質感と年季をそのまま感じる、重厚な木造駅舎。塗装されていない駅舎は貴重です。青い屋根瓦と、大きな一本松が目印。駅前のガイドマップを見る限り、辺りには旅館が多いようです。かつては作家の芥川龍之介も泊まったのだそう(参考)。駅前の県道に出るやいなや、旅館の建物。辺りは大きな集落が続いており、お店も複数ありました。ただ、ときたま車が通るくらいで、観光客含めて人の姿はまばら。この道を通って、海岸へと出てみます。地元のスーパーで昼食を買いつつ、歩いて数分で波根海岸に到着。西には石積みの突堤が伸びる柳瀬漁港があり…東には、より大きな波根東漁港がありました。透き通った海水と、弧を描く海岸線が印象的。そして漁港の奥にあるのは、高さ約40mの「立神島」(写真左)と、高さ約80mの「立神岩」(写真右)。穏やかな海面とは反対にダイナミックです。秋晴れの下、水平線を眺めながら、ひとりランチタイム。こんなひとときが意外に忘れらなかったりします。足元では海鳥たちものんびりと日向ぼっこ。ただ、何がきっかけかたまに一斉に飛び立つので、ちょっと驚きます。しばらくすると、漁船も帰港。じっとしていても見飽きることのない、贅沢な時間でした。列車の時間が近づいてきたので、再び波根駅へ。駅のそばには、西日を受けて輝く立派なユッカランの花。海側のホームにやってきた帰りの列車は、1両編成。名残惜しさを胸に、次の駅へと向かいます。