夕暮れの柔らかな光に包まれて、広い草っ原でただひとり水平線を遠くに望む。映画のモデルにもなった越中中村駅は、立山連峰の麓で富山湾を見下ろす小さな無人駅。ぽつんと佇む待合室、錆びた駅名標、昭和の面影を残す列車。まるでそこだけ時が止まったかのような空間でした。
越中中村駅
えっちゅうなかむら
- 電鉄富山駅から50分。滑川市の外れにある越中中村駅は、ホームが一つだけの小さな無人駅。
- 正面の線路の向こうは、なだらかな斜面に広がる一面の畑。夕暮れ時、頭上には淡いオレンジ色の空が広がっていました。
- そして、畑の先には富山湾の水平線。海岸まではおよそ800mあり、その間を通る県道沿いには住宅が点在しています。
- 山側にも畑が広がっており、開放感は抜群。屋根も柵もなく、ほとんど舗装もされていないホームは、周囲の景色に溶け混んでいました。
- 錆びきった手書きの駅名標。奥には立山連峰がうっすらと見えました。
- しんとした中、並行するあいの風とやま鉄道の列車が通過。大勢の人を詰め込んで颯爽と駆け抜ける新型の車両と、誰一人おらず、昭和に取り残されたかのような越中中村駅との対比が印象的でした。なお、500mほど西にはあいの風とやま鉄道の東滑川駅があり、歩いても10分かかりません。
- 駅で唯一雨風を凌げる待合室の中へ。こじんまりとしていますが、座布団も置かれて暖かみのある空間でした。
- 机の上には駅ノート。そして本棚や置き傘もあり、地元の方に大切にされている様子が感じられました。
- 待合室からも窓越しに海が見えます。越中中村駅は 映画「未来のミライ」に登場する駅のモデル にもなり、待合室の中にはそのシーンの切り抜きが貼られていました。
- 待合室脇の階段を降りた駅前。不自然な空き地に伸びる細い一本道の先に、数えるほどの民家があるだけ。人も車もほとんど見かけませんでした。
- 振り返れば、つくしが顔を出す草っ原の先に、ぽつりと佇む待合室。そしてホーム越しの水平線。ぼんやりとした夕暮れの空に浮かぶ様子がまた幻想的でした。
- すぐそばにはシンボリックな木。
- 夕日を浴びて、1時間ぶりの列車が到着。
- 誰も乗り降りすることなく、静かに発車。古い車両のおかげで、まるで昭和で時を止めたかのような風景です。
- 再び静かになった越中中村駅。海を見下ろす駅名標の背中は哀愁をも感じさせました。