木目がむき出しのまま残る木造駅舎。その出口を額縁に、日本海と秋空の青が抽象画のような鮮やかさを放っていました。吸い込まれるように駅舎を抜ければ、視界いっぱいの水平線。この上なくぜいたくな駅前風景がありました。
有間川駅
ありまがわ
- 直江津駅から普通列車で2駅、わずか10分。波の描かれた列車を降りると、本物の波の姿と音が迎えてくれます。(2022年10月)
- ホームの正面には水平線。10月、荒々しいイメージとはまた違った、穏やかな日本海でした。(2022年10月)
- 国鉄北陸本線の駅(当初は仮乗降場)として1946(昭和21)年に開業した有間川駅。その後JRの駅になり、北陸新幹線の金沢延伸と合わせて、第三セクター・えちごトキめき鉄道日本海ひすいラインの駅になりました。JR時代、ホームの一部には舗装もフェンスもありませんでした。(2012年8月)
- 駅全体が醸す趣は、今も昔のまま。戦後間もない開業当時からの木造駅舎も健在です。(2022年10月)
- 有間川駅でいちばん絵になるのが、木造駅舎越しの海と空。駅舎の黒いシルエットの中で、水平線が隔てる海と空の青だけが映ります。(2022年10月)
- なお、有間川駅には駅舎の出口のみならず、山・海どちらのホームにも別の出口が点在します。海のある北側を除いて、少し離れた場所にそれぞれ集落や民家があるため、地元の方にとっては便利そうです。(2022年10月)
- 構内踏切を渡って、こんどは海側のホームへ。無人駅でありながらも、手入れのされたプランターの花々が景色に青以外の彩りを添えていました。(2022年10月)
- 木造駅舎の庇は、まさに年季の塊。古い木材の質感がいたるところに残ります。(2022年10月)
- 海を抜きにしても、旅情を掻き立てます。(2022年10月)
- 出口を向けば、日本海。抽象画のようでありながら、波と雲、いつの間にか現れる小船は確かに動いていて、一秒たりとも同じ景色はありません。(2022年10月)
- シンプル、かつぜいたくすぎる駅前風景。(2022年10月)
- 足元を通るのは国道8号。駅が一段高い場所にあるため、車に視界を遮られないのも嬉しいところ。でも、交通量はそこそこあります。(2022年10月)
- 東を向けば、上越火力発電所や、霊峰として有名な米山(標高993m)も見えました。(2022年10月)
- さらに、この日は視程がよく、70km離れた佐渡島もうっすらと。(2022年10月)
- こちらが有間川駅の駅舎。板張りの壁は左半分だけ新たに白く塗られていました。背後の山から降りてくる空気が清々しいです。(2022年10月)
- 別の角度から見ると、まるで昔の学校のよう。絵になる佇まいでした。(2022年10月)
- そのまま駅を離れ、海沿いを東へ。300mほど進めば、有間川漁港と休憩施設の「有間川フィッシャリーナ」があります。(2022年10月)
- 駅前の国道8号と並行する「久比岐自転車歩行者道」。旧北陸本線の線路跡地を活用した、全長約32kmの道です。奥に見えるトンネルが日本海ひすいラインで、その手前の橋台が旧北陸本線のもの。(2022年10月)
- この道はいわば、昔の線路。山をトンネルで貫く現ルートとは異なり、かつては海岸線に沿って走っていたことがわかります。昔の車窓に思いを馳せながら、このまま隣の 谷浜駅 を目指して歩を進めました。(2022年10月)
- 途中の旧・長浜トンネルは、この道が鉄道だった頃から使われているもの。馬蹄形のアーチは明らかに単線のサイズ。それでも、ここがかつて北陸の大動脈を担っていました。このトンネルを過ぎれば、谷浜の集落はすぐそこ。有間川駅から谷浜駅までは3.5kmほど、徒歩で約1時間の道のりです。(2022年10月)