雨晴駅 あまはらし JR氷見線 富山県高岡市(Open in Google Maps) 高岡駅からわずか20分。冬の富山湾を車窓に眺めながら、めでたい名前の雨晴駅で下車。列車が辿ってきた線路のほうを振り返れば、富山湾と奇岩の向こうに、壁のようにそびえる冠雪の立山連峰が迎えてくれました。しかし、この景色に出会えるのは、冬場でも運に恵まれた日だけ。そのぶん、出会えた感動もひとしおでした。 訪問:2023年2月(一部2008年8月) / 更新:2023年12月29日 2月、天気のよい日を狙って雨晴駅に下車。振り返れば、富山湾の向こうに雪化粧をした立山連峰が迎えてくれました。手前には奇岩の「女岩」も。降りて数秒で、冬の雨晴駅のハイライト。思わず息を呑む景色でした。地元の方によると、50kmも離れた立山連峰がくっきりと見えるのは11月から4月頃の限られた日だけ。この日は幸運にも1週間ぶりの美しさだそう。なお、私は「立山眺望予報」で直前に日取りを決め、「SCW」で雲がなるべく薄くなる時間を狙いました(予報は常に変わるので要注意)。雨晴駅が位置するのは、雨晴海岸のすぐそば。線路の先に海が見えるだけでなく、ホームの松の木越しにも青い富山湾が広がります。海側のホームに正対すれば、視界には伸びやかな水平線。左端にちらりと映るのは能登半島です。実はかつて、駅と海との間には家屋と雑木林がありました。ただ、地元の観光協会が木を伐採する など、ホームからの眺望は以前と比べてかなりすっきりしました。(2008年8月)構内踏切からは、立山連峰と富山湾、そして雨晴の趣あるホームを一望できます。ビビッドな朱色の国鉄時代のディーゼルカーが、澄んだ青と白の背景に映えます。この日は平日ながら、列車が着くたびに20人ほどの観光客が降りる盛況ぶりでした。このシーズンの雨晴エリアは、すっかり観光スポットになっているようです。海側のホームにあるのは、小さな待合室。その窓からも海と立山連峰を拝めます。ホームの先端からはこの景色。標高3,000m級の山々が連なる様子は、まるで天までそびえる壁のよう。遠くには、対岸の滑川市付近の街並みと、富山港を発つ船。この日の海は穏やかでした。こんどは山側のホームに戻り、駅舎の中へ。雨晴駅は有人駅で、観光案内所を併設。観光協会の方が駅の業務もされていました。なお、かつて夏に訪れた際には、壁に雨晴海岸から見る朝日の写真が、ホームの庇に風鈴が飾られていました。(2008年8月)駅舎の窓からも、もちろん海。外に出ると、駅舎は思いのほか背が高め。白い外壁に赤い瓦屋根が特徴的です。そんな駅舎のドアには、手書きの地図。雨晴海岸や近くの観光名所への行き方が丁寧に記されていました。この地図に沿って、まずは海岸のほうへ向かいます。駅舎の隣には、気嵐(けあらし)が立つ朝焼けと、快晴の立山連峰それぞれを写した雨晴海岸の写真パネル。天気が芳しくなかった日の記念撮影用でしょうか…駅前の道を1分ほど歩くと、右手に海へと続く踏切が現れます。この正面が雨晴海岸です。吸い込まれるように海岸へと出れば、まさに白砂青松と立山連峰の大パノラマ。ここ雨晴海岸は「日本の渚100選」にも選ばれています。浜辺をずっと東へ進むと、足元から岩場の広がる浅い磯が出現。この上なく澄んだ水の中ではヤドカリも泳いでいました。磯のすぐそばにあるのが「義経岩」。源義経が奥州に逃れる途中、ここでにわか雨が晴れるのを待ったことが「雨晴」という地名の由来と言われています。その義経岩の隣にある踏切を渡ると、目の前には2018年にオープンした道の駅「雨晴」。3階のデッキに上がれば、この眺望。富山湾と能登半島、海にへばりつくように走る氷見線の線路を一望できます。立山連峰もこの通り。ダイナミックな立山連峰や奇岩と、その足元に広がる穏やかな富山湾との対比が見事です。次いつ出会えるかわからない絶景に、寒さを忘れてつい見入ってしまいました。